本記事で示すのは,『総合和声』中の和音のまとめ - 雑感・音楽等に示す結果の導出過程である.
大まかな流れを以下に示す.
- 和音の構成音をピッチクラスで表記する.
- 和音のピッチクラス表記からIDを求める.
- IDを同じくする和音が,相互に転義可能な和音であると判断する.
例として,「C-durの準II度」の和音で上記の流れを考える
- 構成音が[d,f,as]だから,ピッチクラス表記は[2,5,8] と表記される(C,His=0; Cis,Des,Hisis=1; ... ; Ais,B,Ceses=10; H,Ces=11とする)
- IDの求め方は以下の手順である.
- すべての転回形を求める.ここでは[2,5,8], [5,8,2], [8,2,5]
- 和音構成音のすべての値から,転回後の最低音の値を引く.[2-2,5-2,8-2]=[0,3,6], [5-5,8-5,2-5]=[0,3,-3], [8-8,2-8,5-8]=[0,-6,-3]
- 値が11を超える場合,その値から12を引く.値が0未満の場合,その値に12を足す.[0,3,6]->[0,3,6], [0,3,-3]->[0,3,-3+12]=, [0,-6,-3]->[0,-6+12,-3+12]=[0,6,9]
- 「2の"構成音"乗」を足し合わせる.[0,3,6]->, [0,3,9]->, [0,6,9]->
- これらの数値の内,最小のものを和音のIDとする.この場合は73,521,577の内,73が最小であり,準II度の和音のIDである.
- 対象とした和音に対して,以上の手順を実行し,IDを求めた.IDを同じくする和音を,相互に転義可能であると判断した.